素直になれたら
○東京スターライトテレビ・制作部・中

心菜と相田、集まっている制作部スタッフに挨拶している。

相田「三日間、お忙しい中どうもありがとうございました。大変勉強になりました」

頭を下げる相田に続き、心菜も頭を下げる。
「おつかれさま~」と言いながら、スタッフ達がパチパチと手をたたいてくれる。
日下部はにこにこしながら頷いている。

日下部「わからないことがあったら、メールでもまたなんでも相談どうぞ」

相田「ありがとうございます。本当に、お世話になりました」

心菜「ありがとうございました」

頭を下げて、立ち去ろうとする二人。
日下部がこそっと心菜にだけ耳打ちする。

日下部「過保護の彼氏で大変だね」

心菜「え・・・?」

にやにやとしている日下部。
心菜はキョトンとした顔。

日下部「新人研修までついてくるって、なかなかいないよ」

心菜「え・・・あ、え!?」

心菜(まさか、相田さんのこと!?)

仰天する心菜。

心菜「違います違います!!本当に、私の同期が来れなくなって」

日下部「うんうん。まあまあ。東京に一人は心配だもんね」

相田が心菜の彼氏だと思い込んでいる様子の日下部。
心菜は焦る。

心菜「あの!ほんとに・・・」

相田「井藤!なにやってんだ。邪魔になるから。早く帰るぞ」

心菜「あ、は、はい!」

少し先を歩いていた相田が、日下部と話す心菜を振り返る。
心菜は相田を追おうとするが、日下部の誤解が気になって、

心菜「あ、あの、ほんとに違くて」

日下部「うんうん。大丈夫大丈夫。そっちの会社に密告したりしないから」

心菜(ええーーーっ!?)

相田は舌打ちをして、心菜の元にずんずんと歩み寄ってくる。

相田「遅い!!行くぞ!!」

心菜「え、あ」

心菜(日下部さん!!誤解です~~~・・・!!)

口をパクパクと動かす心菜。
心菜をずるずる引っ張っていく相田。
日下部は、そんな二人の様子をにこにこしながら見送った。


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