素直になれたら
○新幹線・指定席車内(夕)

車両の真ん中辺りの二人席。
心菜が窓際。相田は通路側に座っている。
窓の外は夕暮れ。
   
心菜(疲れたな・・・。
あれから、お昼食べたり、たまたま通りすがった別の撮影をちょっとだけ見学したりもしたから・・・)   

ぼんやりと、窓の外の景色を眺める心菜。
隣から紙をめくる音がして、心菜は研修資料を読んでいる相田のことをチラリと見る。

心菜「・・・」

真面目な横顔の相田。
心菜は一瞬ドキッとするが、

心菜(・・・日下部さん、なんで私と相田さんが付き合ってるとか勘違いしたんだろう・・・。
日下部さんの前で、誤解されるような態度とってないよね?)

心菜は、研修中の相田との会話や態度を思い出す。
ごく普通に話したり、時々怒られたり・・・確かに、「MIKASA net TV」にいるときに比べたら優しかったと思うけれど、基本的にはいつも通りの相田とのやりとりが頭に浮かぶ。

心菜(・・・うん。普通だ。普通。
別に、誤解されるようなこともなかったよね?

・・・うん。そうだ、例えばあの、髪を直されたとこでも見たら、誤解するかもしれないけどーーー・・・)

はっと、その時の状況を思い出す心菜。
途端に顔を赤らめて、その記憶を消し去るように、頭をブンブンと横に振る。
   
相田「どうした?気分でも悪いのか」

相田が、心菜の顔を覗き込む。
心菜は驚いて、ますます顔を赤くする。

心菜「ち、違います違います!!大丈夫です!!」

相田「・・・ならいいけど。顔赤いぞ。熱でもあるんじゃねえの」

心菜「えっ!?」

自分の頬を触る心菜。
熱い気がするが、それがまさか相田が原因だとは言えずに、

心菜「大丈夫です!あの、ちょっと・・・疲れただけで」

本音と咄嗟の一言が入り交じった言葉。
相田は「うん」と頷く。
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