素直になれたら
○ネットカフェ・女性専用エリア・個室・中(早朝)
   
パソコンの時計表示が5:20。
リクライニングチェアで、漫画本の15巻を読んでいる心菜。
パタン、と漫画本を閉じ、大きなあくびをする。

心菜(読めた~~!!読破!)

クマをつくりながらも、すがすがしい表情の心菜。
テーブルの上のスマホを手に取る。

心菜(さすがにまだ寝てるよね。電話しろって言ってたけど・・・ひとまずメール入れとこうかな)

心菜、メールアプリを開いて相田に「読めました!!」のメッセージを送る。
ほどなくして、返信がくる。

相田「マジか。わかった。取りに行く」

スマホを机の上に置き、15冊の漫画本を抱える心菜。
個室を出て行く。

○同・フリーエリア(早朝)
   
女性専用エリアの出口すぐ。
心菜が女性専用エリアの扉を出ると、すでにフリーエリアで相田が待っていた。
普段整えている髪の毛を下ろしている相田の姿に、心菜は少しドキッとしながら、
   
心菜「おはようございます」

相田「・・・すげえクマだぞ。少しは寝たのか」

心菜をジロリと見る相田。
心菜はクマを気にしながらも、少し得意げに「フフフ」と笑う。

心菜「はい。仮眠もとりつつの読破です」

相田「あ、そ。達成感、って顔してんな」

心菜「はい!」

嬉しそうな心菜。
相田はあきれた顔で笑う。

相田「おまえはほんとに素直だな」

心菜「え」

相田「いや。今回も。朝までに読めって言ったら本気で読んだし」

心菜、複雑そうな顔をする。

心菜「だって、その後相田さんが10時までに読むっていうのでなるべく早く」

相田「あー、そうだったな。こうなったらマジで読まないとな」

心菜、「え」という顔をして、

心菜「冗談だったんですか!?」

相田「んー、いや。冗談半分、本気半分。一晩で15冊って微妙だろ。研修後で疲れてるのに」

心菜「ええーっ・・・」

心菜は、抗議の顔を相田に向ける。
相田は笑う。
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