薔薇の棘の痛みにキスを、あなたとの日々へ花束を
あなたとの日々へ花束を


「おはよう、メロ」

いつもと同じように、大好きな可愛い黒猫に挨拶をする。

ふわりと柔らかなその髪に触れ……髪?

「きゃーっ!!」
「……うるさい」
「ど、どうして!?」
「何が?」
「どうして悠ちゃんがここにいるのよ!」
「昨日、俺の腕の中で寝ただろ?」
「え? 記憶にないよ」
「キス逃げしたくせに?」
「キ、キス!? 私、悠ちゃんにキスしたの?」

昨日の私は積極的だったのね……って、
そんなことより、メロはどこ?

「メロならそこにいるだろ」
「あ、本当だ。メロ、こっちにおいで」
「ニャー」

腕を広げて待っていたのに、メロは私を無視して外へ行ってしまった。

「…今日は悠ちゃんが居るから、自分の居場所をとられたと思って怒ってるのね!」
「ふーん。じゃあ、今日は俺がずっとお前の隣にいてもいいってこと?」
「わっ、」

答える前に軽く体を押されてベッドに倒される。

「道連れな」

悠ちゃんは不敵な笑みを浮かべ、私にぎゅーっと抱きつきながら秒で眠りについた。

「今日は甘えん坊な悠ちゃんなのね」

ふわふわな髪を撫でながら、私も静かに目を閉じる。
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