独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
さっきまでふわふわしていた体が、地球の重力を思い出したようにアスファルトに引き寄せられる。それから、私は地面の感触を確かめるように足を踏み出した。
きっちりと地に足をつけて歩く。
そうやって、これまでやってきたのだ。
『困ったときの冨永さん』
そう言われることは恥ずかしくもあるけれど、自分の仕事が認められた気がして胸が満たされるのもたしかだった。
私はあの事務所が好きだから、みんなの役に立てればそれでいい。
だから峰島先生にも、きちんと好きな人の方を向いてもらったほうがいい。きっと、それが一番いい。
心に決めて、私はゆっくりと地下鉄の階段を下りていった。