独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
ただの職場仲間だったはずなのに、彼との距離が明らかに近づいている。今日起きた瞬間から……じゃなくて、昨日の夜から?
「あの、夕べって」
何があったんでしたっけ?
そう口にしようとしたら、峰島先生は「ああ、それだけど」と言って、私から手を離した。玄関に置いてあったカバンを拾い上げ、真剣な目で私を見る。
「冨永さんにしか話してないから、誰にも言うなよ」
ぐっと喉が詰まった。
「……はい」
視線に気おされるようにしてどうにかうなずきながら、心の中でありとあらゆる罵詈雑言を自分に浴びせかけた。
バカ! 私のバカ! どうして覚えてないの!