独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
…
「それじゃお先―」
定時を過ぎたあたりから、所員たちが仕事を終えたばかりとは思えない晴れ渡った顔で帰っていく。
今年のお盆休みはまとまってとれるから、海外に行く同僚も多いらしい。
いの一番に帰宅した長澤さんをはじめ、事務局のメンバーやほかのパラリーガルも続々と仕事を終えていく。
そんな中、いつものようにキリのいいところまで仕事をしていたら、いつのまにかフロアががらんとしていた。
「うわ、こんな時間」
腕時計が二十一時を指していることに気づき、マグカップを持って席を立つ。
事務局も所長室もからっぽで、電気だけが煌々と点いていた。
集中力もありすぎると困りものかも、と思いながら、不要な電灯を落としつつ給湯室に向かう。すると、ちょうど出てきた男性とぶつかりそうになった。