独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
大きなガラスがはめられた木製のエントランスドアを抜けると、長い廊下に沿ってクライアントと応対する相談室が三部屋あり、そのさきのドアをさらに抜けてフロアにたどり着いた。
「おはようございます」
入ってすぐの右手に三十代の男性弁護士がふたり、左手に三年目の峰島先生を含めた若手弁護士三名の部屋がある。部屋といっても全面ガラスの仕切りになっているから、解放感が凄まじい。
そして神谷所長に次いで年長のパートナー弁護士がひとり海外研修中だから、実質この事務所に出勤してくる弁護士は六名ということになる。
若手の部屋である左側を極力見ないように廊下を進み、キャビネットに囲まれた自分の島へと向かった。