独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
終章 不機嫌な彼の溺愛
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ふわふわと空をただようような心地よさの中で、ふいに音がした。
遠くの方から聞こえてくるのは、ギターの弦を優しく掻き鳴らす目覚まし用のアラームだ。
全身を覆うだるさに「うう」とうめきながら手を伸ばしても、いつもの場所にあるはずのナイトテーブルに届かない。
「あれ……」
接着剤でくっつけたように開きづらい目を、どうにかこじ開ける。カーテンの隙間から差し込んだ淡い光に、見覚えのない景色が広がる。
えっと思って体を起こそうとしたとき、後ろから伸びてきた手にぎゅっと抱き寄せられる。素肌に直に手のひらが触れて、自分が何も身に着けていないことに気づいた。
背中にぴたりと合わさる体温に、改めてすべてを思い出し、心臓が弾ける。