独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「おはよう、優梨子」

 耳もとでささやかれて、ぞくぞくと背筋が痺れた。

「おはよう、ございます……」

 どうにか口にすると、彼は「普段の冨永さんにもどったな」とつぶやいてから、何かを思い出したように小さく笑った。

「夕べの記憶は?」

 後ろから広い胸にすっぽりと包まれながら確認するように問われ、私は両手で顔を覆った。言葉にはできず、こくこくと首を縦に振る。

 思い出すだけで、恥ずかしすぎて死にそうだった。

 昨夜、ダイニングのキッチンカウンターで、彼に進められるままアルコールを飲み続け、結局ふたりで四本近くワインを空けた。その時点でもちろん私の感情はダダ漏れだ。

 ふにゃふにゃとクラゲのように彼にもたれかかり、ここぞとばかりに抱き着いたり、恐れ多くも髪に触れたり、好きですと口走ったり……恥ずかしいことをたくさんした気がする。

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