独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 彼も思い出したのか、くつくつと小さく肩を揺らしながらつぶやく。

「本当に、優梨子は酒が入るとやたらと感情豊かで、めちゃくちゃ素直で可愛くて、好きとか気持ちいいとか、すごい言うよな」

 飲んだあとのベッドでの記憶もばっちり残っていて、顔から火が出そうだった。

 夕べ、彼はあの夜の再現だと言って、お酒を飲み、私と肌を重ねた。その際に言われたセリフを、今の私はきちんと記憶している。

 好きだ。

 本当に可愛いなお前。

 優梨子、俺のものになれよ――

 セリフと一緒にそのときの湿度や彼の体温まで思い出されて、頭が沸騰しそうになる。

『シラフで言えるかよ、そんな恥ずかしいこと』

 そう突き放すように言われたけれど、お酒が入ってるときは本当に言葉にしてくれていたのだ。私がその夜のことを、まるごと忘れていただけで。

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