独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
一昨年から続いていた不動産絡みの大事件が勝訴的和解で解決して、昨夜はみんなで祝勝会を行った。
事務所の近くにある居酒屋で三時間くらい飲んで、カラオケに行く二次会組とは別れて帰ろうとしていたら、同じく駅に向かおうとしていた峰島先生と目が合ったのだ。
お互いになんとなく飲み足りなかったから。そんな理由で、ふたりでバーに行って……。
カウンターに並んでカクテルを飲んでいた場面までは思い出すことができたけれど、途中からぷっつり記憶が途切れている。
声にならない声を出しながら頭を掻きむしりたい衝動を堪えていると、傍らで「ん」と小さく身じろぎする気配があった。
固まっている私の視界で、どこか中性的な美しさを湛えた魅惑の二重瞼が、ゆっくり持ち上がっていく。透き通った黒い瞳と視線がぶつかって、私は体を硬くした。