独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
読み込みすぎてよれている参考書から、峰島先生は私に視線を移す。
「けど、弁護士にも検察官にも、もちろん判事にもなりたいわけじゃない。だろ?」
すぐ横にしゃがみこんだ彼に、じっと見つめられた。挑発するような、楽しんでいるような顔で、弁護士先生は私に手を伸ばす。
「パラリーガル、天職だと思うよ」
緩くカーブのかかった私の髪をひと筋すくい上げ、口元にもっていった。
「なんせ、『困ったときの冨永さん』だもんな」
にっと唇を横に引き伸ばして、いたずらっぽく笑う。普段よりもずっと感情豊かな彼の表情に、胸がどきどき鳴ったり締め付けられたり、忙しなかった。
誰にも言っていないのに、どうして彼にはわかってしまったのだろう。