独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
雪絵は長澤さんとは五歳も離れているし正反対のタイプだけれど、同期のせいか不思議と仲がいい。雪絵の顔を押し戻しながら、長澤さんは嘆かわしそうに首を振った。
「香坂先生……顔よし、性格よし、職業よし。近年まれに見る優良物件だったのに……」
「職業ならみんな同じじゃないですか。貴志(きし)先生はダメなんですか? 三十一歳だし、香坂先生とは違うタイプだけどイケメンですよ」
雪絵のセリフに、いつもびしりとスーツを着込んだメガネの弁護士先生を思い浮かべた。長澤さんが瞬時に首を振る。
「ダメ。堅すぎ。話が合わない」
「所長は? 甘いマスクの穏やかイケメン」
「雲の上すぎ! あれはもはや芸能人じゃん! さすがに無理無理」
「じゃあ赤王子。ミステリアス男子」
「赤賀⁉ 何考えてるかわかんないし、意思疎通ができない。無理」