独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「あとは……」
雪絵が口にしていく弁護士先生の顔を次々と思い浮かべながら、うちの事務所は男前の宝庫なのだなと改めて思っていると、長澤さんがぽつりとつぶやいた。
「やっぱり蒼王子かな」
出された名前に、ばくんと心臓が跳ねる。おそるおそる隣を見ると、彼女は崩れかけたおにぎりを見つめながら自分に言い聞かせるように続けた。
「よく考えると、彼って私にだけやたらと厳しいじゃない? それって愛情の裏返しってことよね」
「いや、たんに嫌いなんだと思います」
しれっと言い放った雪絵を、長澤さんがにらみつける。
「なによ! あんたなんか未だに彼と話したこともないくせに!」
「蒼王子は顔面が整いすぎてて恐れ多いんですよ。間違って視線がぶつかろうものならこっちの目がつぶれます。遠くから眺めるくらいがちょうどいいです」