独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「そんなに敬遠しなくても……」

 思わず口を挟んでしまった。所員からそんなふうに言われる峰島先生を少しだけ不憫に思う。

 たしかに事務所での彼は尖った空気をまとっていて近寄りがたいけれど、本当は優しいし、柔らかな表情を見せることだってあるのに。

 口に出せないまま考えているうちに五日前の自宅での出来事が思い出され、耳が熱くなった。

「冨永さんは大丈夫ですよ。目立たないけど実はきれいだから釣り合いが取れてるし。なにより蒼王子も一目置いてる感じがするし……ていうか、なんで赤くなってるんです?」

「な、なんでもない」

 雪絵の言葉がろくに耳に入らないくらい、思考が自宅のベッドに引っぱられて戻らなかった。

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