独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「あほ。具合悪いのにヤるわけないだろ。俺をなんだと思ってんだよ」
私を睨みつけると、ふて腐れたようにシートに沈んだ。
「心配だから送ってくだけだ」
頬杖をつくようにして、彼は夜の明かりが流れる車窓へと視線を向ける。対向車のライトに浮き沈みする横顔の輪郭があまりにきれいで、私は息を呑んだ。
タクシーに乗り込んだときから、彼の右手は私の左手を力強く包んでいる。
手の甲から伝わってくる体温に、胸がつぶれそうだった。
そんなふうに優しさを見せないでほしい。
誰かの代わりにされても、私が彼を好きなことに変わりはないのだ。
だからきっと、求められたら拒めない。