独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
空になったマグカップにコーヒーを継ぎ足しに給湯スペースに向かうと、人知れずため息が出た。
忙しいけれど、仕事は好きだ。脳と体を休む間もなくフル回転させていれば、タイムスリップでもしたみたいにいつのまにか夜になる。
ただ、それが意識としては一時間程度の感覚だとしても肉体にはしっかりと労働時間分の疲労が蓄積されていて、ふとした瞬間に一気に体がだるくなるのも事実だった。おまけに集中力が途切れたとたん、仕事中は忘れられていたことが頭に浮かぶから厄介だ。
もう一度ため息をつき、ステンレスの流し台でカップを軽くゆすいだ。
本当はお気に入りのカフェのカプチーノが飲みたいところだけど……。
窓の外を見ると薄暗い空にぽつぽつとビルの明かりが見える。