三時は特別な時間
フライパンを弱めの中火にかけ、生地をすくって高い位置から一気に落とす。そうするときれいな円になりやすい。

二、三分焼いて表面に気泡が出てきたら裏返す。両面焼いて完成。

出来上がったホットケーキに、シオンがニコニコしながらメイプルをたっぷりかける。恒音がコーヒーをマグカップに入れ、二人は向かい合って座った。

「let's eat!(食べよう!)」

フォークとナイフを持ち、二人は同時にホットケーキを食べ始める。

「Delicious!(おいしい!)」

二人の言葉がハモる。それだけで恒音は嬉しくて、シオンと笑った。

「恒音、ついてるよ」

シオンが自分の頰をトントンと指先で叩く。恒音は「どこ?」と口の周りに触れるが、ホットケーキのクズは取れていないらしい。

「僕が取ってあげる」

シオンの顔が近くなる。恒音はゆっくりと目を閉じた。

チュッと音がして、二人の唇がまた重なった。メイプルのせいか、いつも以上にシオンとのキスは甘かった。
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