三時は特別な時間
「Good moaning（おはようございます）」

散歩中、出会った人たちに挨拶をしながら恒音はカエデと自然豊かな道を歩く。

この国に住み始めてから、恒音の生活は驚くほどゆったりしたものになっていった。自然に触れ、休日はハイキングや星を見たりする。コーヒーを友達と何時間も話しながら楽しんだりする。時間に縛られるということがほとんどない。

「こうなったのもあの人のせいだよね……」

苦笑しながら恒音は呟いた。



恒音には恋人がいる。同い年のカナダ人だ。名前は、シオン・ウィリアムズ。

シオンと初めて出会ったのは、恒音が留学した時だった。

恒音がある日、疲れてカフェに立ち寄った時のことだった。

店内には、恒音以外にお客は一人しかいない。ふわふわしたクリーム色の髪の男の子。コーヒーにメイプルを入れて飲んでいる。その横顔はとてもかわいらしく、まるで女の子のようだ。

恒音は、お客が彼しかいないことにこのカフェに入ったことを後悔した。二人きりなんて、とても居づらい。
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