三時は特別な時間
ドアの前でどうすべきか迷う恒音に気付いたのか、男子がくるりと恒音の方を向く。黒い恒音の目と、薄い水色の彼の目がしっかり合った。

「……あ、えっと……」

男子はカウンター席に座っている。男子は自分の隣の椅子を引き、にこりと恒音に笑いかけた。

「Sitting next to.(隣に座って)Let's talk togethe(一緒に話そうよ)」

ふわふわした雰囲気に、恒音は彼が悪い人には見えず気がつけば隣に座っていた。

「僕はシオン・ウィリアムズ。君は?」

「木村恒音です。高校二年生です」

「僕と同じだ!日本人?」

「はい、日本人です」

そんなことを話していると、カナダの国民的スイーツ・ナナイモバーをカフェの店主が出してくれた。チョコレートで厚いバタークリームをサンドしており、モカやメイプルなど様々な味がある。

「It must be good!(おいしそうですね!)」

そう言う恒音にシオンが言う。

「1950年代から愛され続けているスイーツだよ。定番はミントチョコレートとピーナッツバタークリーム」

「そうなんですか〜。いただきます!」

恒音はナナイモバーを口に入れる。甘みが口に広がり、恒音は「Delicious!(おいしい!)」と笑う。
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