一夜からはじまる恋
「これ、今日のプレゼント。」
と湊が樹に見せたのはひまわりの鉢植えだった。
「え?いつの間に?」
「内緒」
湊は樹のアパートの玄関の扉の前までひまわりを運んでくれた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。」
「・・・・」「・・・・」
二人の間に少し微妙な時間が流れる。
「じゃあこれで」
「樹」
玄関の扉を開けようとする樹の腕を湊がつかんだ。
「もう一回デートしてほしい」
「・・・」
「だめかな?」
今日だけでも数えきれないほど遠慮するような戸惑っているような湊の表情を見ていた樹は申し訳ない気持ちがこみ上げる。
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