一夜からはじまる恋
「双葉さん、倉庫からサンプルの在庫持ってきて」
「はい」
上司からの声に樹は倉庫へ向かっていた。

今日は社を挙げてのイベントの日。

取引先の企業や一般のお客を相手にお祭りを開催し、会社のPRをする年に一度の大イベントだ。

真夏に行われるこのイベントのために連日準備におわれていた二人はあの夜の電話以来顔を合わせていなかった。

湊からは毎日変わらずメールは来ていて今朝も『熱いからイベント無理しないように。気を付けて』と送られていた。

社長として初めてのイベントに湊も連日慌ただしそうに遅くまで仕事をしていた。
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