一夜からはじまる恋
今度は10階!?
内心げっそりしながら樹は前を歩く湊についていった。歩幅を樹に合わせてくれている。
階段になり「さきどうぞ」と湊は樹に先を譲った。樹の足元をしたから照らしながら歩いている湊。樹は背中に緊張を背負いながら歩いた。
さっきの5階までの疲れも手伝って樹のペースはかなり遅い。
「ゆっくりでいいよ?あっ賞金狙ってなければ」
「大丈夫です。」
「どっちの大丈夫?」
階段をのぼりながら話していた樹は
「金一封よりもとにかくゴールできれば大丈夫という意味です」
と湊に伝える。
「そうですか」
急に敬語に戻った湊に自分の態度に問題があったかと不安になった樹が急に振り返るとその勢いにすぐ後ろを歩いていた湊が「うわっ」と声を上げた。

湊がバランスを崩して慌てた樹が湊の腕を引く。
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