一夜からはじまる恋
「それはよかった。」
「こんなにも丁寧な配慮がなされているイベントはなかなかありません。業界で注目されているあなたの実力には驚きました。小さな子供からお年寄りまで気配りのある設計ですね。うちの設計部の職員に研修していただきたいくらいです。」
湊の言葉に司はまた笑顔になる。
「実は最近子供が生まれまして。わが子の誕生は自分の世界観を変えてくれています。毎日目まぐるしく成長するわが子と一緒にいると今まで見えなかったものがたくさん見えて、今回のイベントにもつながりました。」
「それはおめでとうございます。」
「ありがとうございます。実は今日会場に妻と子供がきているんです。」
「ぜひご挨拶したい。どちらにいらっしゃるんですか?」
司の言葉に湊が周りを見渡すと
少し離れたところでぺこりと頭を下げるベビーカーを押した女性がいた。
「妻です。それと生まれて4か月の息子です。」
司は妻の桃と息子を紹介した。
「かわいいですねー。うわぁちっさいな。」
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