一夜からはじまる恋
湊の反応に司はベビーカーから息子を抱き上げた。
「高瀬さんご結婚は?」
「まだです」
「そうですか。いいですよ、結婚。」
司の言葉に妻の桃は司の腕をたたく。
「すみません。つい結婚をすすめたくなるんです。人それぞれですよね。」
「いえ。私も本当はもう結婚したいんですけどね。うらやましいです。結婚も子供も。」
湊が息子にくぎ付けなのをみて司は
「せっかくですから抱いて練習してみます?特別に」
と息子を湊の腕に渡した。

まだ首の座っていない司と桃の息子をこわごわと抱く湊。
「重いな。」
「そうですか?まだ6キロくらいですよ?」
湊は司の息子をじっと見ながら
「命の重みっていうんですかね。ずっしり感じます。あったかい。」
小さな命を自分の腕に抱くことに湊は感動を覚えた。

< 122 / 349 >

この作品をシェア

pagetop