一夜からはじまる恋
樹が目を覚ますとあたりは真っ暗になっていた。
起き上がりキッチンへ向かうとそこにはワイシャツ姿の湊がいた。

「・・・」
泣きはらした目が重い。

樹に気づいた湊はぎこちなく笑い近づいてきた。

陸という名前が気にならないわけじゃない。
それでも前に進むと決めた湊は樹から目をそらさなかった。

「薬、勝手に見た。ごめん。」
湊の言葉に樹は首を横に振る。

「切迫流産と言われました。」
樹は小さな声で話始めた。
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