一夜からはじまる恋
「え?大丈夫です。重いから!降ろしてください!」
樹が降りようとすると
「ダメ。危ないからじっとして」
湊はステージの上のあいさつのように冷たい空気をまとった声を出した。
そんな湊の雰囲気に樹が黙る。

湊は廊下の床に樹を下すとヒールの靴を脱がした。
「へ?」
驚くようなスピードで靴を脱がせると湊は樹の足首に触れていく。
「痛っ」
「骨は折れてないな。捻挫だな。こりゃ。」
そういうとすぐに湊は再び樹を抱き上げてすたすたと廊下を歩き始めた。
「ライト」
そんな言葉に樹は黙って足元をライトで照らした。
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