一夜からはじまる恋
「結婚しよう」
「え?」
「結婚しよう」
湊の瞳は全く揺れていない。
「俺は樹のどんな過去も一緒に背負う。過去も未来も全部まるごと愛す。」
湊の言葉に樹は目を丸める。

「私・・・」
「結婚しよう。樹をまるごとありったけの愛で愛し守る。子供が生まれたらその子も樹と一緒にありったけの愛で愛する。幸せにする。」

湊のまっすぐな視線に目をそらせなかった。

「結婚しよう。何回だって言う。結婚しよう。一緒になろう。」
どうしてこんなに自分を愛そうとしてくれるのか、理解しようとしてくれるのか樹には分からなかった。
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