一夜からはじまる恋
「あぁ。ありがとうな。」
「おう」
湊は廉に頭を下げた。

その後、樹は病室に移された。廉の計らいで用意されたのはかなり広い病院の個室。
「隣は俺の妻の病室だから、俺もよくいるんだ。ひましたら来いよな。」
廉の言葉に湊は笑顔で頷いた。

まだ安心はできない。
それでも一番の難関は越えた。

「頑張ったな。よく頑張った。」
まだ意識のない樹に湊はそう語り続けた。
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