一夜からはじまる恋
~♪
「またご主人?」
「はい」
樹の病室で今日も葵と話が盛り上がっていた。
「5分に一回は連絡がくるのね」
そう言って葵は笑う。
「本当は仕事も休むって言ってたんですけど、それはさすがにやめてほしくて」
「わかる!私もそう!主人もはじめは入院するたびに私につきっきりで看病したいって言ってくれてたんだけど、私がそれは嫌だったの。」
葵は無邪気に話をする。樹は葵と話をしていると癒される思いだった。
「私ね、主人との赤ちゃんが欲しかったんだけど、その検査の時に新しい病気が見つかって、子供は産めない体になったの。」
「そうなんですか」
バツが悪そうな樹に気づき葵は無邪気に笑った。
「だから主人のお友達の赤ちゃんが生まれるってすごくうれしいのよ?生まれたら私たちにも抱っこさせてくれる?」
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