一夜からはじまる恋
「ここにお邪魔してたのか?」
「噂をすれば」
葵と樹の話をする樹の病室に廉が来た。
「病室にいなかったからここだなって思ったよ」
「ばれた?」
「ばれるに決まってんだろ。樹さん体調はいかがですか?」
「大丈夫です。」
廉は手に持っていたカーディガンを葵の肩にかける。
「しばらくは傷が突っ張るような感じがするかもしれませんけどそれは問題ありませんから」
「はい」
「妻がお邪魔して大丈夫でしたか?ゆっくり休まれたいでしょう」
「いえ。退屈しそうだったので助かっています。それに話をしていると楽しくて。」
「私でも役に立つのね」
葵の言葉に廉は微笑んだ。
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