一夜からはじまる恋
次の日から湊が出勤する時間に合わせて理恵が自宅へ来た。家の鍵も預けている。会社へ出勤する湊を玄関まで見送るのも樹ではなく理恵がする。
玄関まで樹が見送ろうとすると湊はまだ横になっているようにと止めた。
寝室から理恵と湊の会話が聞こえてくる。

樹の心のもやもやはひにひに大きくなっていった。

「今日はお天気がいいからお洗濯物外に干しますね」
「ありがとうございます」
理恵が食事も掃除も洗濯もする。慌ただしく家事をする理恵を見ていると自分の居場所がなくなっていくようで樹は寂しかった。

考えが膨らみすぎて気分が悪くなった樹はトイレに駆け込んだ。
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