一夜からはじまる恋
「ごめんね。ごめんね。」
陸の母が何度も樹に謝り頭を下げる。

樹は陸の母の両手を握り返しながら何も言うことができなかった。





樹は病室に戻り目を閉じたままの陸を抱きしめた。
声を出して泣きながら抱きしめた陸は今日も温かい。

それでも「どうした?」と心配してくれる言葉も、抱きしめ返すこともしてくれない。
ただただ穏やかな顔で眠っている。
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