一夜からはじまる恋
その日から一週間後。


陸の呼吸の状態が不安定になり樹は病院に呼ばれた。
陸の両親が病室で待っていた。

「陸ね、樹ちゃんの名前を出すたびに呼吸が少し回復するのよ。あなたを待っているのね。」
目をはらして泣き顔で話す陸の母の言葉に樹は涙があふれた。
「樹さん、最後に陸のそばにいてくれますか?その役は決して易しくはない。そうわかっています。でも、陸の父として陸のためにお願いします。最後を看取ってやってください。」
陸の父も涙を流し肩を震わせながら樹に頭を下げる。
樹は陸のそばに近づいた。
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