一夜からはじまる恋
「あの、よければ私のうちわと交換しませんか?」
思わず声をかけたことを一瞬後悔した。自分が社長に声をかけていい立場ではない。樹が後悔していると
「女性用のですか?」
と社長が話しかけてきた。

「私、男性と勘違いされてしまって青のうちわなんです。」
社長は樹の書いていた名前を見る。
「双葉・・・みきさん?」
「いつきって読みます。よく間違えられるんですよ。」
樹が微笑むと社長も微笑んで
「私もです。」
樹は社長の名前を見る。湊っていう名前なのだと知った。

「じゃぁお言葉に甘えて。」
湊は笑顔であかのうちわを差し出す。樹は青のうちわを差し出し二人は交換した。
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