一夜からはじまる恋
「樹ちゃん、今までありがとうね」
陸の葬儀や49日を済ませて樹は陸の両親と食事をしていた。
陸の両親ははじめは大きな悲しみに憔悴していたが今は穏やかな表情をしている。

樹の大好きな和食のお店に陸の両親は樹を招待した。

「今日は遠慮しないで好きなものどんどん食べてね?最近樹ちゃんがどんどん痩せていくから心配してるのよ?陸が心配しちゃうから、ちゃんと食べてね?」
「はい。ありがとうございます。」
三人の時間がなぜか温かく感じるのは陸が見守っているからだと思った。
三人は陸が生きていたころの話で盛り上がった。
幼いころの話や樹との時間の話。
「きっとあの子今頃恥ずかしがっているわね。」
そんな陸の母の言葉に3人で笑う。
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