一夜からはじまる恋
「樹ちゃん、これからも私たちと時々でいいからこうして食事してくれるかしら?」
「もちろんです」
「ありがとう。こうして陸の話をしてもいいし、樹ちゃんのこれからのお話でもいい。なんだっていいからこうして樹ちゃんと会って話して食事したいの。私たちも寂しいから。」
陸の母が涙ぐむと陸の父は母に「母さん、泣かない約束だろ?」とハンカチを渡した。
「そうだった。ごめんね。」
そのハンカチで涙を拭った陸の母は樹に笑顔を向けた。
「私から樹ちゃんにプレゼントがあるのよ。」
そういうと陸の母はカバンから包みを二つだした。
「一つ目はこれ」
陸の母から長方形の箱を預かった樹は両親に断って包みを開けた。
そこには陸とおそろいだったネックレスがあった。
「悩んだんだけど、陸のは樹ちゃんに持っていてほしいの。」
結婚式まではと陸は樹の結婚指輪を、樹は陸の結婚指輪をネックレスにしていた。
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