一夜からはじまる恋

通帳を開けると毎月振り込みがされている。
その金額を見て樹はすぐに何のお金かわかった。

毎月陸の両親に渡していた医療費だ。

「これ」
樹が驚いて陸の両親を見ると
「使えなかった。ごめんね。」
と樹の母は涙を流しながら笑った。

「樹ちゃんのこと、私たちは本当の娘だと思ってる。もう家族なのよ。樹ちゃんは。だからこそ娘の幸せを一番に願ってるの。」
「どうして・・・？」
陸の母が樹の手を握る。
「樹ちゃんの人生まだまだこれからよ？ちゃんとつかめる幸せをつかんでほしいのよ。ちょっとくらいずるくてもなんでもいい。とにかく樹ちゃんが幸せと思える人生を歩んでほしいの。それが・・・」
陸の母が涙で言葉に詰まるとかわりに陸の父が話始めた。