一夜からはじまる恋

「痩せたみたいだし。なんかあった？」
湊の言葉にこの2か月のことが走馬灯のように思い出された。
樹は言葉にできずただ頷く。
湊も何となく聞いたらいけないような気がして
「そっか」
と言ってそれ以上は聞かなかった。

再び二人の間に沈黙が訪れる。

その沈黙を破ったのは今度は樹だった。

「悲しいことがあったんです。」
そう口にするだけで泣き声になる。
「大きな大きな悲しいこと。ずっとその日が来るとわかっていた悲しいことが現実になって・・・。」
そこまで話すとまた樹の瞳から涙が流れ始めた。