一夜からはじまる恋
「そっか」
湊は樹の持っていたココアを受けとり、ベンチに置くと自分のコーヒーもその横に置いた。そして、樹をそっとそっと抱き寄せた。

「・・・?」
樹は湊の想定外の行動に一瞬体をこわばらせた。

そんな樹に気づいた湊は落ち着いた優しい声で話しかける。

「話すのがつらかったら言わなくていい。」
湊なりの励ましだとわかった樹は湊の背中に手をまわした。

どうしてこんなにもお互いのぬくもりがしっくりと来てしまうのだろうと思った。
二人寄り添っていると心から安心できる。離れたくないと思ってしまう。

樹も湊想いは同じだった。
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