一夜からはじまる恋
トイレから出ると陸の母はレモンを絞った水を用意してくれていた。
「おいしいです」
樹の言葉に陸の母は「樹ちゃん、妊娠してるんでしょ?」と告げた。

樹はうつむいて頷く。そして「ごめんなさい。ごめんなさい。」と何度も謝り床に座り込んだ。

「謝る必要なんてないのよ。樹ちゃん。謝らないで?ね?」
と陸の母は樹を抱きしめた。それでも樹は謝り続けた。

樹が少し落ち着くと陸の母は樹に一冊のノートを渡した。
「これはね、本当は見せない予定だったんだけど。」
とノートを開く。そこには懐かしい陸の字が並んでいた。

「読んでみて?」
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