一夜からはじまる恋
「心配なんだ。君をほうっておけないんだ。気になって仕方ないんだ。」
「・・・。」
湊は悪くないのに傷つけるような態度をとるのは違うと思った樹は会議室の席に着いた。

樹の行動に湊が笑顔になる。

「体調は?」
もう一度同じ質問をする湊に樹は「大丈夫です」と視線を合わせず答えた。
「嘘つきだな。」
「?」
湊の言葉に樹が思わず湊の方を見る。

「また前よりも痩せてるし、顔色も悪い。肌もがさがさで唇も乾いてる。目の下のクマもひどいし。水分をとるのもギリギリで夜も眠れないくらいつわりひどいんだろ?」
図星な湊の言葉に樹が黙ると
「元医者の目を甘くみたらダメだ。」
と無邪気に笑った。
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