一夜からはじまる恋
「じゃぁ、私はこれで」
樹が立ち上がると
「相手の人は大切にしてくれてる?」
と湊が遠慮がちに聞いてきた。
「・・・はい」
「今、一瞬間があった。」
「ありません」
「じゃあ、結婚は?」
「社長には関係のないことです。」
樹は湊を見ないようにした。
「・・・俺は部外者?」
「・・・はい・・・」
「そっか」
「・・・はい」
いっそこれで怒って私のことなんて忘れてほしい。そんなことを考えながら樹は会議室を後にした。
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