一夜からはじまる恋
次の日もおなじ会議室に樹はいた。
今日は特につわりがひどい。

机に突っ伏しているとまた湊が入ってきた。

「体調悪そうだな。」
と言いながら樹の隣の席に座る。
「これ、食べてみて」
そんな湊の言葉に樹が顔を上げると湊がタッパーの蓋を開けた。
その中にはスライスしたレモンが入っていた。

「一口でいいから」
「結構です」
「生まれて初めて作ったんだけどな」
残念そうな湊の言葉に心が痛み樹はレモンに手を伸ばす。
< 73 / 349 >

この作品をシェア

pagetop