一夜からはじまる恋
返事が来ないまま樹がアパートに帰るとアパートの前に一台の車が停まっていた。
すぐに誰の車かが分かる。

車の運転席の扉によりかかるスーツ姿の男に向かい樹は駆け出す。

ほかの誰でもない。湊だった。

「危ないから」
と元気なく微笑み湊は樹に気づくと近づいてきた。

樹がそれでも湊の方へ近づくと湊は樹の方に自分の頭をもたれかからせた。

「今だけは肩、貸してくれるか?」
湊の言葉に樹はうなずき、二人はしばらくそのままでいた。
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