一夜からはじまる恋
がっしりと樹の体を支えてソファに運び、湊は「キッチン入るな」とキッチンでタオルを濡らし、持ってきてくれた。

「つわり、まだひどいのか?」
「日によってです・・・」
「ちょっと目、閉じて」
湊は樹の横に座り樹の体を倒すと樹の目の上にタオルをのせた。

樹は目を閉じたまま何とも言えない安心感に包まれる。

「お腹触ってもいいか?」
湊の言葉に何も返事を返せないでいるとそっと湊が樹のお腹に触れてきた。

不思議と湊に触れられたところが温かい。
さっきまでのつわりもどこかへ吹き飛んで今は穏やかな気持ちになった。
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