色盲症の彼女は幸せの色がわからない。


「じゃあ成海が撮ってみて、写真。」


はい、とスマートフォンを渡される。


「上手く取れないけど…」



カシャッ



「はい、どうかな?」



「お〜!綺麗!って、さっきより沈んできたね、夕日。」





「そうだね」




なぜだか寂しい気がした。


夕日が沈んでしまったら、もう…さよならしなくちゃいけない
気がしたから。


「ねえ、成海。」


「なに?」


「俺さ、またここにくるから…成海も来てよ。」



またニシャッと笑う。


でも、また会えることに喜びを感じた。




「うん、もちろん」



「やった!あ、じゃあLINEやってる?
交換しよー!」

どうしよう…


LINEなんて友達いないからやったことない…‼




「ん…?どうした?
あ、もしかして嫌だった…?」



ごめんッ!!と謝る海斗。


ちがうんだけど…どう言えばいいんだろう…




「あ、えと…次会ったときじゃだめかな…?」



「え!?いいの!やった!!
じゃあ次会えたとき、交換しようね」




「うん…!」



久しぶりだな、こんなに誰かと話たのは。



んーっ、と背伸びを1度した後、


じゃあまた!といって手を振って帰って行った。




「不思議な奴…」



また会える、そう考えるだけで…




なんていうんだろう、嬉しい?というか


楽しくなる…?



この感情は一体なんだろう。





〝あの頃〟がきっかけで私は何もわからなくなってしまった。


きっとこれからも__、












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