俺が夢を叶えた理由
友達はそう言いながらくるみの頭を撫でる。くるみの目から、また涙がこぼれた。

「勝ち目ないもの。あんな、美人でスタイルがいい完璧な女性なんかに私は敵わない……」

くるみは小さな胸を見つめる。あの女優とは大違いの体。ハウルが飽きるのも当然だと思った。

「フラれたらイケメン、紹介してあげるわよ。だからちゃんと話し合いなさいよ!」

友達はそう言ってジョギングへと出かけて行った。夜の街は危険な気がするが、友達は格闘技を習っているため平気で夜中に街に出たりもする。

「別れる……かぁ……」

くるみの頭の中には、ハウルとの幸せな思い出が流れていた。いつかハウルと家族になれる日が来ればいい、そう願っていた。

「もしかしたら、将来役に立つかもしれないだろ?」

そう言いながら、ハウルが「日本語を教えてくれ」とくるみに頼んできたこともある。くるみのおかげで、ハウルは挨拶程度なら日本語を話せるようになった。
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