俺が夢を叶えた理由

まだ自分の気持ちに整理がつかない。くるみはゴロンと横になる。友達がたいていったオレンジスイートのアロマの香りが、くるみの心をリラックスさせてくれた。

くるみが横になっていると、玄関の呼び鈴が鳴った。くるみは重い体をゆっくり起こし、「はい？」とドアを開ける。

「……くるみ」

ホッとしたような笑顔で、ドアの前でハウルが呟く。くるみがドアを閉めようとすると、ハウルはくるみの腕を素早く掴み、家の前に止めてあった車の中に押し込んだ。

「やめて！降ろしてよ！これ、誘拐です！！」

くるみがそう言うと、ハウルは申し訳なさそうな目を向けた。

「こんなことしてごめん。でも、どうしても誤解を解きたいんだ」

「誤解ってあの写真のこと？」

くるみは冷たい目をハウルに向ける。ハウルは「そうだよ」と頷いた。

しばらく街中を走った後、車は山道へと入って行った。ガタガタと車が揺れる。

「あの記事を書いた記者に、「デタラメなことを書くな！！おもしろかったら何でもいいのか！！」ってアンジェリーカと抗議したよ。それで、嘘だったっていう記事を書いてもらうことにしたんだ」